【古賀はこがんとこばい】「古賀の民話と伝説の地を訪ねて」(その5・中編)

 

天狗の笛2

 

前編

 

舞台は淸瀧の里へ移ります。

天狗の笛とは知らない笛吹き名人は、長い間笛ば吹きよるばって、こげな美しい音色ば出す笛は見たことも聞いたこともなかと言って、縁側に座って笛を吹いた。

家族の人達は、そらあきっと天狗の持ち物ばい、早う返してこな、災難を招くばいと心配するが、一向に取り合おうとはしなかった。

それからは毎夜のように、近所の人達を集めては、笛を奏でていた。

そんなある日のこと、笛吹き名人は、裏山の畑を耕すため、腰には柞の枝から持ち帰った笛を差し、鍬を担いで出掛けて行った。

畑で鍬を振り上げた。
どうしたことか、鍬を振り下ろそうとしても、背後から引っ張られるような感じで振り下ろすことができない。

振り返って見るが、人の気配はない。

首を傾げながら、何度も鍬を振り下ろそうとするが、同じことの繰り返し。

笛吹き名人は、不審に思いながらも、やむを得ず畑仕事を止めて帰宅した。

夜になると、笛吹き名人は、昼間の出来事はすっかり忘れて、縁側に座って笛を取り出し吹き出した。

美しい音色に惹かれて、村人が一人二人と集まって来た。(つづく)

清瀧の里

【記事を書いた人】
千鳥ヶ池のめだか 街歩きと歴史探訪の記事が得意。古賀の歴史を様々な視点から伝えています。

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