【古賀はこがんとこばい】「古賀の民話と伝説の地を訪ねて」(その5・後編)

天狗の笛③

夢中で笛を吹いていた笛吹き名人が、一息入れようと吹くのを止めて笛から口を離そうとしたが、笛が口から離れない。

村人達は、笛吹き名人がふざけているのだろうと、頭と笛を強く引き離そうとするが、名人の額から汗が流れ落ちるだけで、笛は口から離れない。

さあ大変、天狗の仕業に違いないということになり、隣村の占者の処へ駆け込んだ。

事の次第を聞いた占者が笛吹き名人の家に来て、手を組み呪文を唱えて一心に祈禱をすると、どんなに引っ張っても離れなかった笛が、口からぽとりと落ちた。

真っ青になっていた笛吹き名人は、おそるおそる笛を拾い上げ竹筒に納め、翌朝早くその竹筒を氏神様である天降神社へ奉納した。

薦野・天降神社。「古野」(現在の小野公園付近)に祀られていた「天降天神」が、嘉元3年(1305)に火難に遭って今の社地に遷されたと伝られているようです。

この笛は、神社の神宝として戦前まで保管されていたが、盗難に遭い今はない。
戦前この笛を見た古老の話では、天狗の笛だけあって、指穴がとても大きかったそうだ。(おしまい)

(参考)昭和60年11月1日発行「古賀町誌」(古賀町誌編さん委員会編集)
古賀市図書館収蔵の昭和60年9月1日発行「郷土古賀の民話」

(古賀町司書部会)には「三本柚子(ゆず)の伝説」として同じような話が掲載されています。

その物語は、
「淸瀧のバス停から、犬鳴登山道を歩いて三十分ほどの所に砂防ダムがあります。その切りひらかれた山の谷あいに「三本柚子」と呼ばれる所があります。新緑に抱かれ、鳥や鹿が遊びたわむれるという淸瀧の里に、笛を吹かせれば天下一とうわさも高い笛吹き名人がいました。」

という書き出しで舞台の幕が上がります。(おしまい)

 

天降神社と小野公園(「古賀市案内マップ」)

【記事を書いた人】
千鳥ヶ池のめだか 街歩きと歴史探訪の記事が得意。古賀の歴史を様々な視点から伝えています。

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