【古賀はこがんとこばい】「古賀の民話と伝説の地を訪ねて」千鳥ケ池にまつわる話(その6・中編)

第2回目は、前回の福津市教育委員会の説明板の中にでてきた「冠」の土地から来た娘千鳥の話。

千鳥ケ池の主となった神興村字冠から来た娘

昔、この池の畔に一軒のささやかな家を構えて、仲睦まじく暮らす若夫婦が住んでいた。
その妻は、神興村字冠(旧福間町)から嫁いで来た者(今、同所に「千鳥様」という祠がある。)で名前を千鳥という。

弁天様の生まれ替わりかとも思われる程の美人といわれる何に一つ非の打ち処のない千鳥は、夫に対して、外から帰って来る時には、必ず咳払いをして家に入ってくれと熱心に願った。

夫も初めのうちは妻の言うままに「えへん」と咳をして帰宅していたが、月日が経つにつれて、妻が熱心に咳払いを求めることを不審に思うようになった。

ある日、夫は外出先から帰ると、日頃の不審を晴らそうと、足音を偲ばせて家に近づき、戸の隙間から中を覗いてみた。

すると、最愛の妻は蛇身となって、焔のような赤い舌でぺろぺろ髪を舐めながら容姿を整えている最中だった。

この様子を見た夫は、気も動転する程驚いたが、やがて気を取り直し、素知らぬように咳をして家へ入った。

夫の唯ならぬ顔色や素振りに素性を知られた事を悟った妻は、夫の留守中に家を倒し屋根を破って側の池に投身し池の主になった。

それからこの池を「千鳥ケ池」と呼ぶようになり、以来幾百年この池に身投げしても不思議に助かるということである。

また、もしこの池を干すと、池の主は自分の姿を見せまいと、必ず大雨を降らすと言われている。

(参考)昭和60年11月1日発行「古賀町誌」(古賀町誌編さん委員会編集)

次回は、席内村字久保に住んでいた千鳥という娘の話。

〔写真〕

20200624 晴れの日の千鳥ケ池
2020/06/25 雨の日の千鳥ケ池。昨夜からの雨で周回遊歩道の一部が冠水。


2019/08/28雨の日の千鳥ケ池。大雨になると周回遊歩道もほぼ冠水。

2019/02/04 千鳥ケ池の近くにある千鳥北区公民館、千鳥児童センターと千鳥苑に囲まれた小高い丘の上の祠。側に「千鳥姫伝説」の説明板があります。「千鳥姫」?

【記事を書いた人】
初代編集長 戸田 ハイパーローカルメディア古賀すたいるの編集長をやってます。 古賀に特化した、古賀の人の役立つ情報を発信しながら、 市外の方にも、古賀の魅力を伝えて、しってもらいたいと思ってます。 読書会、手帳カフェ、まわしよみ新聞を定期的に開催してリアルとも つながる、場づくりを実験中。現在は大阪在住。 【趣味】読書。有川浩から紫式部まで。ライフハック系までなんでも読みます。 【好きな言葉】出会いは偶然、恋は必然。

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